厚生年金の遺族年金

制度の詳細

「遺族年金」は、一家の働き手の方や年金を受け取っている方などが亡くなられたとき、ご家族に給付される年金です。亡くなられた方の年金の加入状況などによって、「国民年金」「厚生年金」のいずれか、または両方の制度から年金が支給されます。

厚生年金の遺族年金制度の目的

  1. 遺族厚生年金

    生計の中心となっていた者が死亡した場合

    残された一定の遺族に対し、その生活の安定を図るため、一定の所得を保証することを目的として支給される年金給付です。

  2. 未支給年金

    保険給付の受給権者が死亡した場合

    その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給されていないものがある場合には、その者の配偶者(内縁の配偶者を含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等内の親族(甥・姪、おじ・おば、子の配偶者)などであって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが、「自己の名」で、その未支給の年金の支給を請求することができるものです。

遺族厚生年金

遺族厚生年金(厚生年金)の
受給要件

厚生年金に加入中などの人が死亡したときに、死亡した者が下記の受給要件、保険料納付要件を全て満たした場合に、その遺族に対して遺族厚生年金が支給されます。

受給要件 保険料納付要件
下記のいずれかに該当すること
  1. 1 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
  2. 2 厚生年金保険の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
  3. 3 1 級・2 級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が、死亡したとき
  4. 4 老齢厚生年金の受給権者、または老齢厚生年金を受け取るために必要な加入期間の条件を満たしている方が死亡したとき
下記のいずれかに該当すること
  1. 1 死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までの保険料を納付すべき期間のうち、2/3以上の保険料納付済期間(免除期間・納付猶予期間を含む)があること
  2. 2 死亡日において65歳未満であり、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(死亡日が平成38年3月末日までの特例措置)
老齢厚生年金を受け取るために必要な加入期間の条件(受給資格期間) とは
老齢厚生年金を受け取るためには、原則として、保険料納付済期間と保険料免除等期間を合わせて25年以上が必要です。
受給資格期間には、さまざまな経過措置や特例措置があります。詳しくは、当事務所までお問い合わせください。

遺族の範囲

死亡した者によって生計を維持されていた、下記の者が対象となります。

  1. 1
  2. 2 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
  3. 3 55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から)

遺族の範囲と優先順位

下記の図の通り、死亡当時、死亡した方によって生計を維持されていた遺族の方が対象で、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。

遺族の範囲と優先順位の図

遺族厚生年金の支給額

【令和6年度遺族厚生年金の
支給額】

遺族厚生年金支給額
老齢厚生年金の報酬比例部分×3/4

【遺族厚生年金の年金額計算方法
(令和6年4月分から)】

遺族厚生年金の年金額計算方法(平成27年4月分から)】の図

※ みなし計算とは?
被保険者期間が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。

※ 平均標準報酬月額とは?
平成15年3月までの被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月までの被保険者期間の月数で除して得た額です。

※ 平均標準報酬額とは?
平成15年4月以後の被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以後の被保険者期間の月数で除して得た額(賞与を含めた平均月収)です。

【中高齢寡婦加算】

下記のいずれかに該当する妻が遺族年金を受け取る場合、中高齢寡婦加算として遺族基礎年金の4分の3を乗じて得た額が加算されます。

中高齢寡婦加算の支給要件
  • 夫が死亡したときに妻が40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない場合
  • 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取っていた「子のある妻」(40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る)が、子が18歳になった年度の3月31日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)ため、遺族基礎年金を受け取ることができなくなった場合

詳細な計算方法は非常に複雑です。
詳細は当事務所までお問い合わせください。

まずは、こちらの無料メール相談にご連絡ください。
もう一度、遺族基礎年金を確認してみましょう・・・・

受給権の消滅

遺族厚生年金の受給権者が、次の事由に該当したときは、受給権が消滅します。

【全ての者に共通する失権事由】

  1. 1 死亡したとき
  2. 2 婚姻したとき(届出はしていないが、事実上の婚姻関係と同様の事情である場合も含みます)
  3. 3 直系血族および直系姻族以外の方の養子となったとき
    (届出はしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含みます)
  4. 4 離縁によって、死亡した被保険者または被保険者であった者との親族関係が終了したとき

【子又は孫の失権事由】

  1. 1 子または孫について、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき
    (子または孫が障害等級1級又は2級の障害の状態にあるときを除きます)
  2. 2 障害等級1級又は2級の障害の状態にある子または孫について、その事情がやんだとき
    (子または孫が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除きます)
  3. 3 子または孫が、20歳に達した時

【父母、孫、または祖父母の失権事由】

  1. 1 父母、孫、または祖父母については、被保険者または被保険者であった者の死亡当時胎児であった子が出生したとき

他の年金との調整(1人1年金が原則です)

公的年金では、国民年金、厚生年金保険、共済組合等から、2つ以上の年金を受けられるようになったときは、いずれか1つの年金を選択することになります。同一の支給自由の場合、国民年金は全国民に共通の基礎年金が支払われ、厚生年金保険と共済組合等は基礎年金に上乗せして年金が支払われる制度です。

他の年金との調整の図

遺族厚生年金と他の年金との併給

【 CASE 01 】 遺族年金と特別支給の老齢厚生年金

遺族基礎年金と遺族厚生年金を受けていた方が、60歳になって、特別支給の老齢厚生年金などを受けられるようになった場合、下記のように、ご自身で、どちらか一方を選択して受給することになります。


(イメージ)
遺族厚生年金と他の年金との併給(遺族年金と特別支給の老齢厚生年金)の図

【 CASE 02 】 遺族年金と障害年金

遺族基礎年金と遺族厚生年金を受けている方が、障害基礎年金を受けられるときは、65歳以後、下記のように、障害基礎年金と遺族厚生年金を受けられるようになります。ご自身で、どちらか一方を選択して受給することになります。


(イメージ)
遺族厚生年金と他の年金との併給(遺族年金と障害年金)の図


この特例は、[障害基礎年金と障害厚生年金]を受けられる方にも適用され、次の図のいずれかの組み合わせを選択することになります。


(イメージ)
遺族厚生年金と他の年金との併給(障害基礎年金と障害厚生年金)の図

未支給年金

保険給付の受給権者(未請求者も含む)が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹、それ以外の3親等内の親族(甥・姪、おじ・おば、子の配偶者)などであって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができます。

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